昨年、声優や歌手としてひとつの節目を迎えた今井麻美。
ここからはその活躍の鍵について聞いてみました。
昨年、声優活動20周年、歌手活動10周年を迎えられました。長く活動していくための秘訣は何ですか?
もう1つしかないんだと思います。
やめないこと。
これに尽きるっていう(笑)。
でも私はやめる勇気がなかったんです。
それこそ若い頃は売れなかったから、なかなか芽が出ないな、と思いつつもちょこちょこいろんな作品には出させてもらえて、自分にとってみればそれは大きな1歩だったり。
私がある作品に出てたことを他の人は知らなかったとしても、ちょっとずつ仕事をさせていただけることが嬉しくて。
でも1年2年3年って続けていくうちに、自分が思い描いてた未来と全然違う今を過ごしていることに気づいて。
いつまでも夢にかじりついているといろんな人に迷惑をかけないだろうかとか、それでも続けたいのだろうかとか、自問自答を悶々と繰り返す時期もありました。
でも携わってる作品もゼロではないから、その作品が落ち着くまでは、とかそういうのを考えているうちに、とりあえずバイト頑張ります、みたいな(笑)。
いつか区切りをつけなきゃいけないんじゃないだろうか、これだけしか仕事がないんだったら区切りをつけなきゃいけないんじゃなかろうか、って思っても、その勇気が逆に出せないまま、ズルズル続けてしまっていたんですよね。
自分を客観視出来ていなかったというか。
ただ、それが自分のペースにはたまたま合っていたから、自分の意思を持って演じたいと思えるようになり始めた頃と、その辞めたくないと思う時期がうまく噛み合っていました。
だから活動何周年、っていうのも気づいてなかったんです。
声優活動19年のときに、ファンの方に
「来年は20周年ですね」って言われて「えっ、そうなの?」って。

私が声優になるきっかけになったのが、自分で応募した賞に受かったのがきっかけでした。
その賞の副賞がCDドラマ出演権だったんです。
だから初めてのアフレコがそのドラマCDで。
当時はどうやってアフレコをしているかも知らなかったんです。
その時とある養成所には行ってたんですけど、アナウンサーになろうと思って入った養成所が、声優の養成所だったんです。
間違えて入っちゃって。
心のどこかでたぶん、声優っていう仕事があるんだっていうことも引っかかってはいたから、天然系確信犯みたいなところはあったんだろうな(笑)。
ちなみにそのときの役名は「伝説の少女」でした。
私、あのときの光景を本当に今でも鮮明に覚えています。
皆さん、第一線で活躍されている方ばっかりだったから、本当にいいデビューだったなーって思います。
ドラマCDの台本が、普通の白い紙に印刷したものっていうのも知らなかったし、マイクが人数分ないっていうのも知らなかったし、「ガヤ」の意味も知らなかったし。
何をしていいかも分からなかったときに、そのとき一緒だった女性声優さんが
「こっちおいで」って言ってくれて、こういう風に今から街でみんながざわざわしてるのを私たちが録るんだよ、って教えてくれて、
「そうなんですね、どんなこと話したらいいんですか?」って言ったら
「一緒に話そう」って話してくれて、そうしたら周りの人とかもいっぱい私に話しかけてくれて、あっ、こういうことかっていうのを感じながら収録したのを未だに覚えてます。
もう全部そこで学ばせてもらったっていう。
本当にラッキーだなって自分でも思います。

最後に、これを読んでいる皆さんにメッセージをお願いします!
今これを見てらっしゃる方がどういう立場な方によっても違うと思うんですけれども、あえてこれからもし声優を目指したいという方々がご覧になっているんだとすれば、自分が何者であるかっていうものが自分で分からないと、他人は分かってくれないということを、もう身にしみて感じてきた私の人生経験なのでその観点から少し話しますね。
個性が強いとか、人とはこういった違う部分があるみたいなことを、自分がどれだけ自覚できるかがすごく大事だったなぁと今になったら思います。
苦しむことも多いかもしれませんが、ぜひ自問自答をたくさんして、自分を知って、キャラクターを演じる権利を得られるように、私もこれからも頑張っていきたいなと思っています。
お互い頑張りましょう。
それから、ずっと応援してくださってる方々へ、心からの感謝を。
ありがとうございます!

長いキャリアがありながらも、決して驕ることなく目の前の仕事ひとつひとつにひたむきに向き合い続ける今井麻美。
その実直さと、場をパッと明るくする朗らかな人柄で、これから先もファンの皆様に長く愛されて続けていくことでしょう。
これからも今井麻美の応援をよろしくお願いいたします!
今井麻美(いまい あさみ)
EARLY WING所属。